December 01, 2005
マトリックス リローデッド
2003年【米】
■The Matrix Reloaded
真面目に書くぜ。
前作~今作、通して信念に準ずるモーフィアス。
「変わる物があり、変わらない物もある」
ナイオビに去られた後の彼が、
評議会を、まさに現在の(ザイオンの時代の)政府であると言えるそれを蔑ろにしてまでも。
失った恋人に背を向け、盲目的にネオに執着していた彼が放つ最後のセリフ。「夢から覚めた」
彼は現実を受け入れた。
これが彼の「2度目の」朝。「覚醒しそう。Revolutionsではモーフィアスも空飛びそう^^;」
等と思いがちだが、これは無い。理由は後述。
オラクルはMatrixの一モジュールであった訳だが
彼女(の一部分)を「バグ」と考えるならば、
Architect(設計者)もMatrix内での絶対者では無いと言える。
Architectのセリフ
「これだから人間は…」
「人間の心理を探るプログラム(オラクル)が、「偶然」それを発見した」
等がそれを暗に裏付けている。
いや、裏付けていた。そこに「予言」という概念が生まれる隙がある。
いや、あった。Architectの登場シーンの長いセリフ。
ここまで思わせておいて直後に掌を返した。
オラクルのそれを受けて現れた「ネオの選択」。
これを、Architectは「決定済みの事項」と言い放つ。
こうなるとこれは予言ではない。予定だ。なるほど、確かにオラクルもこの選択を知っていた。
と、考えていいだろう。
「カラスにも、それを動かすプログラムがある」
「救世主は同じ道を辿る」
等の彼女のセリフに始まり、
劇中散々出てくる「the reason and a purpose」(理由と目的)
この言葉は、コンピュータープログラミングを意味している比喩に他ならない。
(上手いぜ、この映画!!)つまり、オラクル、Architectを含めた全ての純然たるMatrix persons は、
アナログ足り得ないという事だ。
何故なら彼らは皆プログラムだから。こんな存在の発する言葉は、それこそ全て予言に聞こえる筈だ。
モーフィアスを筆頭にした、非 Matrix persons には。「人生を投じていた」(劇中セリフより抜粋)モーフィアスの変化は
Revolutionsでの大きなキーになると思われる。「Cause, We are still alive.」
かっちょいいぜ。とは言え、モーフィアスは単に「一、英雄」に過ぎない。
世界を動かす主要人物について自分なりに思った事を。まず、オラクルは恐らくArchitectの絶対的弱点を知っている。
「ソース」到達へのきっかけとなった、キーメイカーへのヒントの事では無い。
彼女は、現在のMatrix(Version6)の母体モジュールである事が根拠だ。が、Architectはオラクルの設計者であり、そこにネオもいる。
この辺りの相関図は正に映画の王道、所謂「三すくみ」なわけだが、
更にスミスが居る。自己増殖機能、他モジュールへの自身上書きという手段を持った彼に
Architectが自身を乗っ取られ、「スミスがラスボス化」していくのは想像に容易いが、
スミスは今やウィルスだ。
「私を自由にしてくれた礼だ」
「君の全ての能力が欲しい」
(いずれもネオへのセリフ)
等に見られる様に、Matrix征服という「野心」を持ち始めてしまったスミスと
Architectとの関係がこの物語の核心になるだろう。「ネオの選択」が「既に」決定していた事も、
セキュリティモジュールであった筈のスミスが暴走した事も、
「予定調和」でありながら、
99%の人類を取り込み、ザイオンを5回滅ぼしても、
まだバージョンアップしなければならない理由がArchitectにはある。こう考えると、全体像が見えてくる。
Matrixとは正に人間社会エミュレーター。
「電力供給源」としての人間畑ならば、仮想空間はむしろ不要だと思えるが
人間の「電池としての」寿命を延ばす為の「えさ」。それがMatrix。これは勿論前作で判る話だが、今作ではその弱さが露呈した。
「人間の弱さの採用」
「力学法則限界制限の緩和」
等、これらの導入が人類浸透率99%を実現しつつも「個別モジュールの暴走」
「位相空間ポータル」
「カーネルモジュール、「ソース」の露呈」
「空まで飛ぶなよネオw」
等がそれだ。弱さ、脆さを取り入れなければ、存続し得ない世界。
更に言うならばMatrixが、
度々モーフィアスら反乱分子の進入を許してしまっている事からも推察出来得る。
Matrixから現実へ戻る為に使われる「有線」の黒電話。
これは正に、ファイアーウォール越えを許してしまっているセキュリティーホール。
オペレーターのタンク、リンク等が行っているのは、現在のポートスキャンそのものだ。
(携帯電話では戻れない辺りが上手い。この話考えたヤツ絶対プログラマだよな…)この辺りの、「俺Matrix^^。 もうすぐ完璧になっちゃうよ(^^)v」的な
「人類超ピンチ!」なだけの映画「ではない」気がする。と、いう事だ。「6代目救世主」であるネオ。
救世主も又、絶対では無い。
(先代死んでるしね)これは意外だったが、彼は終盤 Matrix「外」でもその力の一端を見せた。
スミスも Matrix「外」への進出を果たしている。これは何を意味しているのか、、、興味深い。
(ザイオンの世界も実は「上位」Matrixで更に、、、というのは流石に考えすぎか…汗)
余談だが、劇中「救世主(ネオに限らず)」を messiah / savior の様に呼んでいない。
(前作も同様)
英語が好きな人は判ったかと思うが、ネオに限らず「救世主ら」に対し
一貫して、呼称「the one」を使っている。これは、キリストの事である。
冒頭触れたが、モーフィアスが空を飛ばないであろう理由、それがこの呼称だ。
the one。
theとはつまりthatの事であり、「a/an」と同様、特定を示唆する冠詞。
だが「a/an」と異なり、これは副詞でもあり、最上級を表す形容詞だ。reloadedの時代で形容されているのはネオ個人。
the one。
つまり、唯一無二。
故に、モーフィアスは空を飛ばない。
(似合わないしw)まだ書くぜ。
投稿者 Min : December 1, 2005 12:00 AM